子どもには「勉強できるようになってほしい」ですよね。
だからこそ、子どもが勉強しないと、叱ったり、褒めたり、教えたりして勉強するように促すのですが、実はどの行為も子どもの成長にはつながらないそうです。
「叱る」は子どもを直接的に支配する行為
人から指図されたり、命令されたり、コントロールされるのってイヤですよね。
もちろん、子どもだって同じです。それでも、私たち親が「宿題しなさい」「片付けなさい」「早く寝なさい」なんて叱るのは、その方が手っ取り早いからです。
私たちが子どもの頃、親に叱られて行動したのは、それが「やりたかった」からではなく、「叱られたくなかった」からでした。
「ほめる」は子どもを間接的に支配する行為
では、「ほめる」のはどうでしょうか。
実はこの方法でも、あまりいい結果は得られません。なぜなら、「ほめられる」ことに慣れてしまうと、承認欲求が強くなり、自分のための努力ができなくなるからです。
たとえば、ゴミを拾うのは他人が見ているときだけで、誰もいなければ拾わない――そんな悲しい人間になってしまいます。
また、ほめることは、私たち親の価値観を押しつける行為だとも言えます。
テストで良い点数を取ったときだけ褒めるようにすれば、「テストで高得点を取ることは良いことなんだ」という価値観を植えつけます。もしかすると、カンニングをしても高得点が取れればいいと考えるようになるかもしれません。
このように考えると、「叱る」のは子どもに対する直接的な支配、「ほめる」のは間接的な支配だと言えるでしょう。
もちろん、「叱る」「ほめる」行為そのものが悪いわけではありませんが、そればかりでは子どもは伸びないんですよね。
「教えない」ほうが子どもの成績は上がる
では、「教える」のはどうでしょうか。
結論からいえば、これもダメ。子どもにとっての解決にはならないからです。
そもそも、子どもたちは何のために勉強しているのでしょうか。
もちろん、成績を上げるためではありません。将来、独り立ちしたときに必要な、自己解決力を身につけるためです。
大人になって壁にぶつかったとき、解決策を教えてくれる人がいるとは限りません。自分の力で乗り越えるべき課題に必ず遭遇します。このときに、力が発揮できるように訓練しているわけです。
それなのに、答えを教えてばかりいては、問題を乗り越える力がつきませんよね。それだけでなく、指示待ちのクセもつくでしょう。
だからこそ、「教える」ことでも、子どもは伸びていかないわけです。
「認める」は勇気づける行為
「叱らない」「ほめない」「教えない」――では、どうすればいいのでしょうか。
ここでようやく「認める」の登場です。
たとえば、子どもがテストで悪い点をとったとき、次のような発言をしていませんか。
「本当に勉強したの?簡単な問題なのに」
「こんな点数とってたら、希望している学校に行けないよ」
「あなたは私の子どもなんだから、もっとできるはず」
もし、このような発言をしているようなら、どれだけ子どもの勇気をくじいていることか…。
思い当たるところがある方は、次の3つの方法で子どもを認め、勇気づけていきましょう。
1. メッセージを使って自分の感情を伝える
子どもがテストで良い点数を取ったとき、「かしこいね!」なんて褒めてしまいがちですが、「お母さん、嬉しいわ」と伝えましょう。
反対に悪い点数を取って叱りたくなったときは、「何をやっているの!」ではなく、「(私は)悔しいわ/残念だわ」と伝えます。
そうすれば、子どもを支配させずに自分の思いを伝えることができますよね。
2. 原因分析ではなく、解決策を考えるきっかけを与える
子どもが朝起きられなかったとき、「早く寝ないからでしょ!」なんて原因分析するのはやめましょう。
「どうすれば起きられるようになるかな?」と問いかけて解決策を考えるきっかけを与えます。
そうすれば、子どもは自分の頭で考えるようになりますよ。
3. ネガティブな言葉をポジティブに変える
「走っちゃダメよ」なんて否定的な言葉を使ってしまいがちですが、「歩くと気持ちが良いよ」というようなポジティブな表現を使いましょう。
このような言い方ひとつでも、子どもに「勇気づけ」ができます。
ここまで紹介してきた方法は、子どもの存在そのものを認めていることが大前提です。上辺だけ認めているように振舞っても、顔の表情や身振りなどで見抜かれてしまいます。
だからこそ、本気で子どもを一人の人間として認めることが大切なんですよね。
親が上、子供が下という考えではなく、対等に付き合っていく。そんなコミュニケーションが取れれば、時間はかかるかもしれませんが子どもは確実に伸びていきます
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